きっかけ

手話を始めたきっかけは、以前も話しましたが、
コンサート中に方耳が塞がったこと。
すぐに治り、今は聞こえます。
でも、そのことがなければ
私は手話を学ぼうとは思わなかったですね、きっと。


人は何かに導かれる時、
それぞれ、始める動機が違いますね。


ある人は言葉で人を傷つけたくないから
手話なら考えてから話すのでいいだろう…
という理由で習い始めたという話しも聞いたことがありますし。
また、家族の中で、そういう方がおられて
手話を始めた方もおられるでしょう。


きょう、たまたま家具を運んで下さった方が
手話を学んでおられることがわかり会話が弾みました。


私はひとつのことを思いだしました。


私がまだ20代のころ、
教会の英語を学んでいた時、
クリスマス会でひとりの女性と出会ったのです。
まだ乳飲み子が、籠の中でスヤスヤと寝ており、
「この子は『吾証しす』で『証吾』というの。」
その嬉しそうな暖かい言葉がずっと耳に残っていました。


20年後、私はたまたま軽井沢で行った手話セミナーに
ひとりで初めて参加したのです。
40人くらいの人たちと手話を学び
楽しいひと時を過ごしました。
その中に、もう「通訳者」として働いている
ひとりの女性と出会い、
彼女もまた初めてそのセミナーに参加して、
意気投合しました。


彼女が手話を始めたきっかけは
「ふたごの息子が二人とも耳が聞こえなかったから」
というなんとも衝撃的な話だったのです。


セミナーを終えて、途中まで同じ方向だったので
共に彼女と帰ることにしました。
その電車の中で、その双子の息子さんの上に
耳の聞こえる息子さんがいて
その名前が「しょうご」君。
なんと、その彼女こそが
あの「証吾」くんのママだったのです!!


それまで、大きな大海で泳いでいると思っていましたが、
何か大きな網の中にいる小魚の気分でした。