嵐の3ヶ月 (3)

初めは女子も並んでいたが、
男子だけになり、少しづつ並ぶ数が減っていた。
2週間くらいだったか…、ある日、誰も並ばなかった。
「あれ?きょうはいないの?」
魅力的な給食なのに…そう思いお盆の中を見渡した。
すると、ひとりの男子が「いいの?」
私がうなづく前に
今まであまり私に近づいて来なかったリーダー格の女子が、
その男子を睨んで言った。
「だめ!!死んじゃう。」
「ばか言え。このくらいじゃ死なねえし、
先生のダイエットに協力してやってるんだから。」


その日以来、給食がなくなることはなかったし、
距離を感じていた女子とも
気兼ねなく話ができるようになった。


まるで、テレビのドラマ…「金八先生」か「ごくせん」か。
でも、立派な「先生」になろうとしていた訳でなく
不器用かもしれないが、ひとつひとつ懸命に生きていた日々。
紛れもない事実。


ただ、その中学校は浜名郡管轄だったので
パンにマーガリンやジャムも付かない
簡素化された給食ではなく、
競艇からの収益が繁栄されて
とても豪華な給食であったことを
書き添えておきます。


あの時の生徒は、今はもう立派な大人になっているだろう。
子供がいてもおかしくない歳になっているのだから。