心の扉

私たちが「大きく人生を変える」のはなんでしょう?
私は「心の扉」だと思っています。
いつ、どういう風に開けるのか…にかかってくると思うのです。


10年以上前になると思います。
私はひとりのBさんという方に出会いました。
Bさんは、とても理知的で、手話がきれいで、
「背筋がピンとされた」おばあちゃん。…実は
そんなにお歳ではなかったのです。


Bさんは2人のお子さんがいて
とても評判のよい兄弟で近所でも有名だったようです。
ある日、息子さんが部活で顧問の先生にしごかれ
「青あざ」をつけて帰って来たそうです。
息子さんは気にしてなかったのですが、
Bさんは、どうしても許すことができず、
「学校」「教育委員会」、あらゆるところに訴え、
最終的にマスコミに。


すると、その先生は熱血先生で評判がよかったらしく
「いい加減にしろ」とか、脅迫めいた電話が
Bさんの家に毎日かかってくるようになった。
いつも、その電話を受け取り、謝罪していたのが娘だった。


そして彼女は下校の時、
友達の目の前で「バイバイ」と言って手を振り、橋から身を投げた。


「後悔」しても後悔しきれない。
どんなに悲痛な苦しみだったでしょう。想像を絶します。
Bさんは、そんな時、ろう者の人と出会った。
「なぜ耳が聞こえないのに明るく暮らしているんだろう」
そこから「手話」に出会ったのだった。


心に「許さない」思いがあったら
人生を変えてしまう「心の扉」を開けてしまうことになる。
それを知っている人は
「許さない」と自分が幸せになれないことを知っている。
たとえ、理不尽な思いがあっても。


聖書に「もし、人を許さないなら、あなたも神にゆるされない」とある。
すべての人を「愛する」とか「受け入れる」とかは
やはりできない。けど、
そう、自分のために「許す」。


ここでの話しだけど、私も何度も
開けてはいけない「心の扉」を開けて失敗したことがある。


誰でも、特別な選択でなく、他人事ではない。
知らずのうち、その扉の前に立っている。
だから、
最近は、開けないように「ロック」をかけてと…。